机の上に並んだ電卓とノートとボールペン

ハンドメイドマーケットプレイスに商品を出品して販売する。

無事に商品が売れれば、販売手数料が差し引かれて自分の口座に売上が入金されます。

例えば、国内最大級のハンクラサイトであるminneでは、支払サイトに則り4月の売上を5月31日に受け取ることができます。

その際にネット銀行の口座を振込先に指定しておけば、パソコンやスマートフォンでも入金を確認できるためおすすめですよ。

そして、売上が入金された際に勘違いしやすいことが1つあります。それは、入金額を利益額と認識してしまうことです。

利益の正しい計算式はもちろん「利益=売上-費用」ですよね。

したがって、利益を正しく算出するためには、費用として支払っている金額を正しく把握しておく必要があります。

女性「ポイント」

ハンドメイド商品を製作・販売する際にかかる原価を改めて確認しておきましょう。

作家活動における多くの場面で発生するコスト

ハンドメイド作家に欠かせない裁縫道具

製作し出品したハンドメイド商品がお客様の手元に届くまでには、さまざまな場面で費用が発生しています。

経費として計上するものは、作品の製作から販売までの一連のハンドメイド作家としての活動にかかったお金の全てです。

例えば、真っ先に考えられる経費として、作品の原材料費が挙げられますね。

大雑把な計算では問題箇所がわかりにくくなってしまいますが、細分化していくことで無駄なコストも見えやすくなります。

ここでは、製作のための費用とハンドメイド作家活動のための費用に分けて考えていきましょう。

商品製作のための費用

商品製作のための費用とは、文字通り商品の製作に関する費用です。

お客様の手元に届くまでが作品と捉えると、ラッピングに関する資材も製作面でのコストに含めて計算していきましょう。

  • 材料費(商品を製作するために必要な原材料)
  • 人件費(製作に携わった自分の労働時間)
  • 梱包代(ラッピング用の包装紙や緩衝材など)

原材料費は、ほとんどの人がイメージしやすいはずです。

しかし、忘れがちなコストとして、自分の人件費の存在があります。

ハンドメイド製作を仕事として取り組んでいる以上、製作に費やした労働時間をコストとして捉えるようにしてください。

発送に伴う納品書の作成にクラウドサービスを利用するなど、定型業務を効率良く行うための投資は惜しまないようにすると、結果的に利益を増やすことができます。

ハンドメイド作家活動のための費用

直接の商品製作には必要ありませんが、ハンドメイド作家としての活動を続けていく中で、実は多くの費用がかかっています。

代表的な活動費用としては、次のような支出があります。

  • 製作道具の購入費
  • 事務所家賃
  • 交通費(仕入れやイベント出展時の電車移動など)
  • 通信費(インターネットプロバイダー費用や電話料金)
  • 宣伝費(ショップカードなどの販促グッズ代)
  • 消耗品費(事務用品など)
  • 新聞図書費(書籍代)
  • 交際費(飲食代など)

例えば、自宅で作品を制作している場合、仕事として使用している割合分については自宅の家賃・光熱費等を経費として計上することが可能です。このことを「家事按分(かじあんぶん)」と呼びます。

ただし、自宅には居住空間としてのスペースもあるので、家賃の100%を経費として計上することは認められません。家全体に対する仕事用の部屋の割合といった具合に、根拠のある按分比率を用いて費用計上することが重要です。

MFクラウド確定申告などでは、按分比率を保存しておくことで簡単に家事按分による仕訳を行うことが可能です。個人事業主にとっての青色申告が楽になるように、クラウド会計ソフトの画面構成は作られているのです。

その他、電車移動での交通費、資料等の書籍を購入した際の新聞図書費などがハンドメイド作家活動でよくある経費でしょう。

例えばminneで商品が売れたときの経理処理など、ハンドメイド作家の確定申告でよく使う仕訳の解説ページも参考にしてください。

電車移動の交通費などは、一回あたりは少額かもしれません。しかし、一年間を通して積み重なると、決算時には大きな経費となっているものです。

プロのハンドメイド作家として、経費がどのくらいかかっているかを常日頃から意識しておきましょう。

諸経費も含めて、商品1個あたりのコストを正確に把握しておくことで、利益を確保した上での適正な値付けを行うことが可能になります。

領収証を大切に保管しておく

どのような支出を経費として計上できるかはすでに確認しましたね。

経費として正しく計上された支出であることを証明するには、レジなどで受け取った領収証が必要です。

領収証はfreeeなどのクラウド会計ソフトに入力するときだけ必要なのでなく、その後も一定期間は保存しておくことを義務付けられている大切な書類です。

青色申告を行う個人事業主の場合は、現金預金取引等関係書類の保存期間は7年間と定められています。

専用のファイルを用意し、月ごとにまとめるなどして、しっかりと保存していきましょう。

【freee】クラウド会計・確定申告

売上目標と原価のバランスを取ることが大切

電卓を手に持ってOKサインを作るエプロン姿の女性

ハンドメイド作家としてスタートした直後と1年後では、目標とする売上金額も変化しているはずです。

また、ハンドメイド作家を本業としているか、副業としているか、によっても売上目標は変わってきますよね。

売上目標が低い段階で、多額の諸経費をかけることはできません。

売上目標を高くしていく過程で諸経費を増やすなど、売上と利益のバランスを取ることを心がけてください。

女性「OKサイン」

商品を1つ販売すると「いくらの売上」で「いくらの利益」になるのか。コスト意識を持っておくことで、素早く計算できるようになりますね。